なないろ片思いの魅力を考察してみた。-心に響く6つのポイント

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「なないろ片思い」という漫画がある。

現在、comicoのBESTチャレンジに投稿されている作品であり、リアルな心理描写で人気を得ている恋愛漫画である。(2016/4/11現在)

今回はその「なないろ片思い」の魅力について、心に響く6つのポイントを中心にして考察してみたので書いてみる。
(注・この記事は物語のネタバレも含まれていますので、ネタバレを知りたくない方、なないろ片思い本編をまだ読んでいない方は自己責任でお読み下さい。2016/4/11現在)

➀リアルな感情を持った登場人物たちの魅力

なないろ片思いの最大の魅力と言っていいのが、リアルな感情を持った登場人物達だ。

漫画のキャラクターは下手をすると、作者にとって都合の良いセリフを吐くだけの、リアリティーの不足したロボットの様な人物になってしまう事があるのだが、なないろ片思いの登場人物達は実に生き生きとしたキャラクターとして描かれている。

作者のご都合主義のキャラクターでは無く、きちんと人物の一人一人が、それぞれ別の人格としての感情を持ち、思考しているのが感じ取れる。

これは作者の冷静な人間観察眼があるからこそ、出来ることだといえる。

➁続きが読みたくなる展開の魅力

一話一話の終わり方、次回への引きが非常に上手いのも魅力の一つだ。

読者コメントを読んでいても、「一気に読みました!」等のコメントを見かける事が多い。

読み進めれば進めるほど次回への期待値が高まっていくように作れているのは凄い。なぜなら、読者に次の話を読みたくなる作品を作る事はプロの漫画家でも難しいことだからだ。

継続して次回への期待を読者に持たせ続けていく話を作る。漫画制作の基本的な事ではあるが、実はこれが一番難しいのだ。

「葛藤」、「君と四季」のラストを考察してみる

「葛藤」という話と「君と四季」と言う話のラストの引きが実に見事なので、少し詳しく書いてみたい。

「葛藤」のラストシーン。

ユキ君にいなへのメールを打つシーンで、最初ユキ君は「好きだよ」と言う文字を打っていたのだが、途中で「好きだよ」の文字を消して、新しく「おやすみ」と入力し直す場面がある。そして、俯瞰の構図で寂しげなユキ君の後ろ姿をラストにして、次回へ続く終わり方になっている。

ここで読者は、ユキ君は何故「好きだよ」の文字を消したのか理由が気になる作りになっている。もちろん、そこに至るまでの数々の思わせ振りな伏線があるのだが、それはここでは書きません。

そして、「葛藤」の次の話「君と四季」では、ユキ君の思い出の一部がセリフなしの漫画で語られる。このユキ君の回想を、セリフなしのシーンで見せた事は実に見事な構成になっている事が後々分かって来るのだが…。

その「君と四季」の前半では、ユキ君にいなへの想いをセリフなしのサイレント漫画で見せておいて、ラストでユキの元カノが登場して終わる。

ここで読者は、ユキ君の「葛藤」でのラストのメールの意味が、何かしらユキ君と元カノとの間にある事を想起できる

ユキ君と元カノの間に何があったのか?またまた次回が気になる作りになっているのだ。

繰り返すが、続きが気になる展開を毎回のように読者に見せてくれる、これもなないろ片思いの大きな魅力の一つだ。

➂ポイントを押さえた絵の魅力

絵の上手さを語る時に、よく写実的なデッサン力のことを取り上げる人がいるが、なないろ片思いの絵の魅力はそこではない。

骨格やパースの正確さでは無く、なないろ片思いの絵の魅力とは、登場人物の心の描写を正確に絵に出来ているのが魅力なのだ

文章追加予定

➃心象とマッチしたコマ割り、構図の魅力

登場人物達の心象にマッチした構図、コマ割りが描けている。

文章追加予定

➄心に響くセリフの魅力

なないろ片思いでは、要所要所で読者の心に響くセリフがある。

そのいくつかを抜粋してみよう。

4話終止符

「過去形かよ ばかやろう」
「好きだっただなんて」
「私の気持ちだけ置いてけぼりで、」

これは4話で、七海にいなの事を実は好きだったのが分かった後の、にいなの心のセリフだ。

同じく4話終止符

「ななちゃんが一度でも私を好きでいてくれた」
「その事実だけで今はお腹いっぱいなんだ」

これも同じく4話から、にいなの心のセリフである。

過去に自分の好きな人が同じように自分を好きでいてくれた事実を知って、過去の事だと思いながらも、嬉しくも切ない気持ちが伝わって来るセリフだ。

好きな人が、「一度でも私を好きでいてくれた」「一度でも」の部分が、健気さと切なさをより一層感じさせてくれる。

こういった報われなかった気持ちを体験した事のある読者も多いのではないだろうか?だからこそ、なないろ片思いのセリフは多くの読者の心に響くセリフになるのだと思う。

17話無償の奉仕

「自分はこんなにも頑張っているのに何も返ってこないーとか」
「こんなにも愛を届けてるのに同じだけ返してくれないーとか」

「無償の奉仕」と銘打たれた17話では、ゴミ拾いの場面と上手くリンクさせながら、無償の愛についてさらりと語っている。

欠けゆく時

「自然と溢れる涙ほど」「正直な感情は他にないと思う」

このセリフは、これだけで一つの詩のような響きさえある。

短く簡潔に、気持ちを文章に出来ている。漫画本編を読んで貰えれば尚の事、このセリフの良さが伝わると思う。

このように、読者の心をしっかりと掴んで離さないセリフも、なないろ片思いの魅力だろう。

➅冷静な作者の視点の魅力

そして最後に忘れてはいけないのが、この作品をまとめ上げている作者の視点だ。

アマチュア作家でありながら、作品を紡いでいく視点はプロに近い視点といっていいだろう。

文章追加予定

まとめ

題材自体は特別なものではなく、ごくありふれた恋愛漫画の王道のような三角関係、すれ違い、片思いがメインではあるが、それ故に奇抜な飛び技を使うわけでもなく、丁寧な心理描写を中心にした作りでこれだけ魅力のある作品を描けている作者の力量を感じることができる。

なないろ片思いの作者は恋愛漫画の才能に愛されている。

是非これからも、魅力ある作品を作り続けて欲しいと思う。

なないろ片思い作者との対談動画

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