すずかわけいこう 「With -ウィズ-」の感想。愛と言う言葉の変わりにWithがあった。

Withと言う言葉には、同伴・同居,~と一緒に、といった意味があるそうだ。

この作品は、ある老夫婦の愛の物語りだ。しかし、それを語る言葉として作者は「I LOVE YOU」では無く「With」を使っている。

そう「I LOVE YOU」でも「LIKE」でもなく、「With」なのだ。

Withに込められた想い

冒頭の最初のコマ、河原で少年達が野球をしている姿が望遠で映る。

物語を最後まで読んだ後で、もう一度この最初のコマを是非見て貰いたい。きっと、新たな発見と共に、味わい深く感じられる事だろう。

さて初恋の相手と結婚した老夫婦、その妻の方が認知症を患ってしまう。認知症と言う重たい問題を取り入れながらも、物語全体のトーンは暗く無い。それも、この老夫婦の共に歩んできた関係性を伺わせてくれる。

現在から過去、そして現在へ

物語は現在から過去の記憶、そして現在へと進んでいく作りになっている。

その話の進め方が実に上手い。とても自然に、そして短いコマ割りの中で、初恋の二人が夫婦になるまでの過程が描かれている。

認知症と老夫婦

物語の途中で、この夫婦には子供がいない事が分かるのだが、つまりそれは妻の認知症に対して夫が一人で支えなければいけない状態を意味している。

いわゆる、老老介護というものだ。

認知症や老人介護の問題は、決してキレイ事では語れない側面を持っているが、この漫画はそれさえも、悲観的ではなく、夫婦の一つの歩みの形として前向きに描いている。

共に生きるという事

過去、現在、そして認知症や介護。

それらを全て含めて、共に生きていく事。それが「With」に込められた意味なのではないだろうか?

愛と言う言葉の変わりに「With」(~と一緒に)なのである。

感想まとめ

愛し合うとは、どんな状況でも、その人と共に人生を生きていくという事なのかもしれない。

この物語の最後のコマは、老夫婦の手と手が重なり合うカットで幕を閉じる。その手には無数の皺が、夫婦の共に歩んできた歳月の長さを表すように刻まれている。

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